第90号  1996,1,23(火) 東京のある小学校 2年1組


「のびのび」インターネットバージョン


「悪い人の欄」

 3学期のクラスの目標は、「笑いの王国2年1組」だって。

 どういうことかわかっているのかなあ、とちょっぴり不安にもなりますが、わからなければこちらが誘導できるなと、ほくそ笑んだりして・・・
 子どもに全部任せているようなそぶりをしながら、結局の所こちらの思うように引っ張っていることが多いですね。
 でも、それも子どもたちが素直だという子とが前提になっていますが、今のこの子達は、本当に素直です。

 ところで、心配していた 新聞係 が動き出しました。やっと方針が決まったようです。

 計画係 は、誕生会に向けて準備を着々と進めています。次回の学級会は、この議題になります。

 植物係 は毎日忘れずに水をやっていますが、「観察記録を付けたら?」と他の子に言われて、さて、どうしますか。

 何でも係 は、どうも「待ち」の姿勢が多くて、他の係のように工夫することが考えられないようです。

 予定係 は、先日○○君から意見の出された「悪い人の欄」を変えることに決めました。これについては、前の係だった△△君も、「僕が考えたんだけど、あんまりよくないと思うから、無い方がいいと思う。」と意見を出し、それを受けて、今の係の□□君が、「僕もそう思うから考えて直してみる。」ということになりました。
 ところが、その日、このクラスにしては珍しく大事件が起こったのです。


 それは、放課後、教室の後ろで起こりました。

 A君が猛烈な勢いでB君に殴りかかっていったのです。原因は、例の「悪い人の欄」。

 でも、私はその喧嘩よりも、それを取り巻く子どもたちの反応の方が興味深く思いました。

 まず、第1のパターン。

私の近くに来て、
「ああいうのは放っておいた方がいいんだよね。」
「まあ、気のすむまでやらせるのがいいんじゃない。」
「途中で留めない方がいいんだよ。」 (これ、全て子どもの言葉)
と、評論家ぶってる子達。


 次に、第2のパターン。

喧嘩している子達を取り囲んで、口々に
「やめなよ。」
と、叫んでいる子達。


そして、みんなから拍手をもらったのが、第3の男。

「やめろー。」と叫んで二人の中にわけ入っていった、行動派。
その途中で、喧嘩を仕掛けた子から猛烈なパンチを目に受けてしまいましたが、(このときの痣が月曜日にもまだ残っています。そうとうな勢いで殴られたようです。)おかげで、この喧嘩は終了しました。
 この勇気ある男は、○△君です。そして、拍手をしたのには、訳があります。きっと今までだったら、パンチを受けた○△君は決して我慢せずに、新たに○△君とA君との喧嘩に発展したでしょうが、(後で聞いてみると、子どもたちもそう思ったそうです。)○△君は殴り返すことをせず、両手でぐっとA君の肩を押さえて、大きな声で一括しました。それで終わりです。
 B君はこれ以上残っているとまたやられると思ってさっさとその場から去っていました。(何という要領のよさ)

土曜日の道徳の時間に、この事について少し話をしました。


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