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母の遺した物

    =学校便り「私の宝物」より=
                      本川 順子

 私は父の勤めの関係で、就職するまでに6回ほどの引っ越しをしました。ですから、その度に、『整理することは捨てること』という母の考えを見習って、何でもどんどん捨ててしまっていました。
 唯一、捨てずに残しておいたアルバムだけが私の想い出と思っていました。
 でも、母が亡くなった後見つけた段ボールの中に、私が忘れかけていた想い出がいっぱい詰まっていたのです。
 小学校1年生からのテストや作文、図画等です。あれほど物にこだわりを見せず、もったいないと思う物までポイポイ捨ててしまっていた母が、子どもの成長の証ともいえる作品だけは、大事にとっておいてくれたのです。
 懐かしい私の姿がそこから浮かび上がってきます。赤で書かれた先生の文字から、当時の出来事が思い出されます。そして、1、2年生の時のテストに書かれている母の文字からは、子を思う親の気持ちが読みとれます。
 こういう愛情に包まれて大きくなったのを感じたときには、もう母はいませんでした。
 この私の作品類は、私の過去と母につながる大事な宝物です。
 いずれはきちんと製本して、私のお墓まで持っていくことにしましょう。
 

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学級文集あとがきより

 

子どもたちへ

                  本川 順子

 はやいねえ。もう、おわかれの時が来たよ。
 一緒に過ごした二年間、いろんなことがあったね。
 一番覚えているのは、何と言っても「サカナ」のこと。いっぱい、好きなこと言われたなあ。でも、そのおかげで、少しは残さないようにしようって、先生もがんばることができて、この頃は、ちょっぴりだけど、魚が食べられるようになったよ。そして、先生と同じように、きらいだけど、がんばって食べてみるという子が増えて、給食のざんさいが少なくなったよね。
 そうなんだね。はじめからあきらめないで、『何とかやってみよう』っていう気持ちがあれば、がんばることができるんだね。
 それから、もう一つ。三学期のクラスの目当てを『なまいき・二年一組』にすれば良かったね、なんていう話をよくしたね。
 次々に言葉を覚えて、どんどん使っていたのが、とても楽しかったよ。みんなの覚えようとする力がすごくて、圧倒されっぱなしだったよ。これは、みんなの『好奇心(何でも知ろうとする心)』が、大きかったっていうことだね。
 この二つに共通することは、みんなが、言いたいことを言っていたという事かな。
 みんなが、自分の言いたいことをハッキリ言えたっていうことかな。
 人の心をわかってあげるって、とっても大事なことだけど、わかってもらえるまでじっと待っているだけじゃ、やっぱりダメだと思うんだ。
『わたしはこう思う』って、ちゃんと言えることが、これからはますます必要になってくるよ。
 それが言えると、つまらないけんかやごかいがなくなって、みんなと仲良くできるよ。 三年生になって、どんな友達ができるんだろう。でも、みんななら、きっと誰とでも仲良くできるね。
 また、楽しい日々を送ってね。
 先生は、この二年間とても楽しかった。
 いっぱい思い出ができたよ。ありがとう。


保護者のみなさま

 二年間のご協力ありがとうございました。ずいぶんと勝手なことも言わせていただきましたが、おかげさまで、無事に二年間を終えることができました。
 素直で、楽しい子どもたちでした。
 やる気あふれる子どもたちでした。
 友達に優しい子どもたちでした。
 この子どもたちとの二年間は、毎日が新しく、発見に次ぐ発見の日々でした。
 限りない可能性を秘めた子どもたちです。
 型にはめ込んで、せかすことなく、子供のペースで、ゆったりと見守ってあげてください。
 大きな愛情に包まれた子どもたちは、いずれ、期待に応える成長を見せるはずです。
 

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3月4日(月)の出来事

 たくさんの方においで戴いて感激しています。
 学級便りは、保護者の方に少しでも子供の様子を知らせて、クラスの子供を理解してもらうことと、勿論私という人間をわかってもらいたいという願いからです。ただ、クラスで出すのは、親と担任という関係からか、いつもこちらからの一方通行なので、こうしてここで感想を聞かせていただくと、今後の参考にもなり嬉しく思います。
 今日は、午前中(3,4時間目)はマラソン大会。午後はクラブ発表会。いずれも3年生からの参加です。
 クラブ活動は、4年以上の参加になります。わたしは、一応コンピュータクラブを担当しています。児童数は、41名。19台の機械がフル回転です。教室が狭いので、歩き回ることもままならず、スピーカーで怒鳴り散らしています。
 今日は、子供を帰した後、クラス文集の構成で6時近くまで学校で仕事をして帰宅です。

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3月5日(火)の出来事

 今日は、趣味の「手話」講習会に参加して9時過ぎに帰宅。
 ある新聞に、教師の言葉遣いについて書いてあった。いじめを誘発するような言い方、いじめられている子に更に追い打ちをかけるような言い方等、要するに、今一番話題になっている事に関してだ。また、別の新聞で、PTAが教師の体罰を容認、という記事も目にした。帰宅後、教師の言葉による嫌がらせで登校拒否になった子供の記事を見た。
 今日1日で、こんなにも教師に関わる記事を見た。世間の関心が強いというか、監視されているというか、問題教師が多いということか。
 ただ、確かに、教師は、教室が自分の天下であるため、独りよがりのわがままな権力者に陥りやすい。これは、常に自戒していなければいけないこと。
 子供を人間として尊重する気持ちが有れば、嫌がらせの言葉など出ないと思うのだけれど。体罰など、必要がないはずなのだけれど。
 以前の、これもやはり新聞に、先生達、お互いに注意しましょう、というようなことが書いてあったが、これが、とても難しい。何しろ、職員室は禁煙にしましょう、せめて、妊娠した人がいる間だけでも、と言うことすら、無視されてしまう集団なのだから。
 何故、いつから、こんな風に物わかりの悪い人々の集まりになってしまったのか。辛いところだ。

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