10月12日(日) 雨のち曇り

 今日は龍王峡へ行こうと思っていたのだが、夕べから降り始めた雨が朝になっても止む気配がないので、室内に閉じこめられた形となった。予報では午後からは何とか止むようなので、そうなったら、龍王峡の入り口くらいまでは行ってみるつもりで、温泉に入ったり、クイズをしたりしながら時間をつぶしていた。
 退屈してきた頃、予報より早めに雨が上がったので、すぐに用意をして出かけることにした。
 鬼怒川温泉前駅まで歩いていきそこからは電車。二つ目の駅が龍王峡だ。電車は結構混んでおり、この人達みんなが龍王峡をめざすのかと思ったら、そうではなかった。多くが登山の格好をしていたのだが、会津まで行ったのかな。

 龍王峡で下りると、さすがに観光地だけあって、ツアーバッチを付けている人もいて、客も多く土産物店も並んでいた。そこを抜けていくといよいよ龍王峡だ。
 下りの階段がずっと続いている。雨で足下がぬかるので気をつけながら下りていった。資料によると下の滝まで約10分だ。
 「虹見の滝」は思ったより落差があり、水量も多く、見応えがある。少し色づいた木が見られたが、やはり紅葉には早すぎたようだ。が、滝だけでも楽しめるし、奥へ続く鬼怒川も風光明媚だ。一見の価値があるように思えるが、あまり観光資料が見つからず、それほど価値ある観光地という扱いはなされていない所の様だ。ここに何故か神社があったので、御参りをしてから次のムササビ橋をめざすことにした。
 一般の観光客はどうもここまでらしく、それから先をめざすのはほんの一握りらしい。

 道はぬかるみがひどく、足下の注意を怠らないようにゆっくりと歩いていった。時折人と出会う程度で、マイペースで歩くことができた。雨に洗われらせいか緑がとても切れりで新緑のような感じがした。胸一杯に空気を吸い込んで森林浴を満喫した。歩き始めると暑くなってきたのでトレーナーを脱いでいると、目の前を蛇がぬるぬると動いていた。早々にそこを引き上げてまた歩き始めた。
 遊歩道は、鬼怒川をずっと下に見下ろすような高さにあるので、川は木々の間に見え隠れする程度だが、それでも渓谷美は十分だ。深い緑の水に両岸の白い岩がいいコントラストを見せている。途中で休憩をしておやつと水を補給して、また歩き続けた。小さい滝がいくつも見えるようになると、「ムササビ橋」だ。

 この辺りは少し紅葉しているという情報を前もって仕入れていたのだが、期待したほどではなかった。やはりまだまだ紅葉の時期にはなっていないらしい。ここから出発日の駅まで戻るつもりだったのだが、陽気もよくなってきたし、景色も思った以上に見応えがあるので、更に先まで行ってみることにした。
 途中、いろいろと解説があって、観光に力を入れていることが伺えるが、いかんせん道が悪い。この辺りからどろんこ道と言うより岩がごろごろしている道なので、うっかり足を取られると痛める可能性がある。しかも、今日はその岩がツルツルしているのでなおさらだ。その上、道が狭いので、草木が顔や頭の上に覆い被さるように迫ってくる。

 気をつけながら周りの景色を楽しんで進んだ。途中白石のバス停で、そこからバスで戻ろうかと思ったが、川治まで歩こうということにした。更に4q以上歩くことになるが、気分はよかったので頑張ることにした。
 発電所の近くは、少し開けていて、それまでの逼迫感から解放された上に花もたくさん咲いていたのでいい息抜きになった。また狭い道に入って、川治をめざす。もう横道にそれることも引き返すこともできない。先へ進むのみ。
 しばらく歩くと、林野庁が森林の保護のために造った道があった。川沿いだというので迷うことなくそちらを選んだ。車も通るトンネルを通らなくて行けるというのもいいことだった。
 道はどんどん下っていくが、これで川沿いを歩けるのだと楽しみだった。ここが一大観光地になれないのは、奥入瀬のように川沿いでは無いせいだろうと話していたので、これでやっと、という思いがあった。が、それは期待はずれで、結局そういうことはなく、新しくできた丸太橋を味わうだけのことだった。おまけに、通らないで済んだトンネルは一つだけで、残りの二つはやっぱり通らざるをえなかった。

 トンネルを過ぎてしばらく行くとダムにでた。そこを渡るとやっと川治駅に着いた。出発してから3時間が過ぎていた。ホッとして、そこの待合所でビールを買ったら、そこのおばさんに「大変だったねえ。2時間くらいかかった?」と言われた。

 電車は満員で立ったままで鬼怒川温泉まで戻ってきた。
 夕食は、殆ど昨日と同じメニュー。いくら40種類とは言っても、食べるものは限られているので、もうがっかり。温泉に入って寝た。

直前のページに戻る