(立山黒部アルペンルート)
朝の出発が9時20分と言うことで、ゆっくりの出発だ。ほんとうは気だけは焦るところなのだが、立山黒部アルペンルートをコントロールしている方の都合で立山駅からのバスの時間が10時という約束らしく、仕方のないところ。そのような次第で、恒例の朝の散歩も食事の後のんびりと行う。
さすがに集合時間が遅いこともあって、バスは予定よりも少し早めの出発。宿泊先のホテルからは立山駅までは10分もかからない。立山からは一般的にはケーブルカーに乗り美女平まで行くのが普通だが、今回は団体と言うこともあって室堂まで一気にバスで行く(9時55分出発)。川沿いの道を抜けるとバスは有料道路の入り口に入る。とたんに目の前に山々が迫ってきた。実は朝のうちは雲が多く、前途を心配していたわけだが、バスが高度を上げるに従って天候は好転し、素晴らしい天気となった。だからまだ雪をいただいた山々が、よりいっそうキレイに見える。
ケーブルカーの終点の美女平を過ぎるとバスは徐行する。落差350メートルという称名滝のビューポイントを通過するからだ。そしてこの時期の見所、つまり雪解け時の見所という意味だが、称名滝を更に上回る落差500メートルというまぼろしの滝「ハンノキ滝」が出現するのだが、それも見事に見えた。写真の左が称名滝で、右がハンノキ滝。
称名滝・ハンノキ滝のビューポイントを通過するとバスは雪原にはいる。もちろん道路は完全に除雪されているが、あたりはまだ雪が一面にある。少しずつ雪の壁が出来るようになって来たなぁと思っていると、中間地点である弥陀ヶ原をバスは通過した。周りに展開する山々の姿が実に美しく、蛇行を繰り返すバスから、その360度の景観を見ることができる。そしてバスが次第に高度を上げるに従って、今まで遠かったその一部が目の前に目の前に迫ってくるようになる。
雪の壁がいっそう高くなってきたなぁと思っていると、バスは渋滞状態のところへ出る。見ると前方に人影だ。運転手にここから大谷地域にはいることが告げられる。バスはそこからは片側一車線を使って走るので、降りてくるバスをまっていたのだ。一方の片側は「大谷ウオーク」に割り当てられているためだ。やがてバスは再び登り始めると程なくして室堂バスターミナルへ到着した(11時2分)。
出発の時刻などの説明もそこそこに、早速バスターミナルを飛び出す。ふと振り返ると、懐かしい雄山の姿が見えた。雄山だけは間違いなくそれと分かる。なぜなら頂上に雄山の山小屋があるからだ。そしてその左には雄山神社の姿も見て取れる。大谷ウオークはバスをよけながらの散歩となる。
一番の積雪の年は25メートルにもなったと言う「雪の大谷」であるが、今年は16メートルだとの説明を受けた。道理で、写真などで見ている風景よりやや迫力に欠けるものがある。バスを背にしている順さんが写っている写真の背景になっている雪の高さを見ると、せいぜい10メートルくらいのようにも思える。
帰路は雪の壁ではなく、それに平行してつけられている雪上を歩いて帰る。このために我々は簡易カンジキを用意してきたわけだが、それでも雪上歩行は結構しんどかった。帰路は雄山を真正面に、そしてそのしたにある室堂ターミナル&ホテル立山を眺めながらのものになった。時間を気にしながら急いでターミナルに戻り、トイレに順さんが行き、その後買い物をして集合地点に来るとかなりの人が戻っていた。実は最初の立山で登山バスをまつため一旦解散になったが、そのあと少し早めの集合になり、添乗員が事前に言ったようにこういうこともあるから近くにいるようにと再三言っていたので、皆早めに集まることにこれ以降なったわけ。
室堂からは下山ルートになる。ここから扇沢まで何度か乗り物を乗り継ぐ。最初はトロリーバス。トロリーバスは雄山の下を通過するので、トンネルの中を進むだけだ。トロリーバスを降りたところが大観峰と言うところで、遠くに黒部ダムを望める場所だ。我々は出発時間のアナウンスを聞くように注意を受けた後、一旦解散になり、ターミナルの屋上に出た。実は朝バスに乗る際に弁当を渡されていたが、大谷ウオークでその時間がなかったので、この待合いの時間を利用し、弁当を食べることにしたが、結果的にそれは周りの注目を浴びることになってしまった。
大観峰からはロープウェイだ。このロープウェイは間に一本の支柱もないもので有名。食事の後写真を撮っていると我々の指定番号がスピーカーから流れ、あわてて階下のロープウェイの集合場所へ行く。しかし我々は図々しいから結構それでも先頭の方に並ぶことが出来た。結果、順さんも則もロープウェイの全面、特に則は窓の開いた場所を占めることに成功した。
そのようなわけで、ロープウェイから下の黒部湖や黒部ダムを望む風景もまた格別であった。
ロープウェイの降りたところが黒部平と呼ばれるところ。ここは屋上が広く、今下ってきたロープウェイの大観峰側や、更にそのしたの方も見えるなど、360度の景観が楽しめるところだ。駅舎から出ると、そこが小さな公園になっていて、そこでも景観を楽しめる。写真は屋上からその庭園方向を見たもの。黒部平からはケーブルカーに乗る。全線地下を走る、日本で唯一のケーブルカーとのこと。その終点が黒部湖だ。ケーブルカーを降りて長いトンネルを抜けるとそこに黒部湖が広がっている。
黒部湖に立ちはだかるアーチ型の黒部ダムの上を歩く。といっても、ダム自体の幅がけっこうあるので、恐怖感などは全くない。遠くにダムの施設が見えるが、まるで去年の夏に言ったチベットのポタラ宮のように見える。我々もここは自分の足でしっかりダムの上を歩いて対岸へ行く。このときは結構ゆっくり写真などを撮って歩いていたので、順番は比較的に後の方になった。しかし最後の扇沢までの乗り物はまた地下を走るトロリーバス(関電)だ。これがかの難工事の破砕帯を通り抜けたもので、今はバスが数珠つなぎで走って結んでいる。バスが日の光を浴びることそこが扇沢。ここで、我々は朝方分かれたバスに戻ることになる。15時過ぎにバスは新宿へ向けて出発、およそ5時間で立山黒部アルペンルートを通過したことになる。連休にしては上出来すぎるくらいのの時間だろう。
1時間ほどバスは走って、高速手前のスイス村というところで、最後の買い物タイム。トイレだけをしっかり終えて寝酒のワンカップを買いバスに戻り、食べ残した弁当をつまみながら飲み、あとは睡眠時間となる。16時27分に豊科ICにのり、実に18時7分には談合坂に到着していた。これが連休の道路事情?と言いたいくらいだったが、談合坂の掲示板はその先の渋滞を示していた。とはいえ、それは覚悟していたよりは小さなもので、20時には新宿の町並みを見ていた。