インドにおけるヒンドゥー教建築の様式は、大まかに分けると の二つに大別されるという。

  このうち、今回の旅行中見てきたヒンドゥー寺院の多くが北方型の特徴を示すものであった。北方がたっと言うのは、釣り鐘状ともトウモロコシ型とも、そして多くは砲弾状と表現される、「手を合わせて合わせた手の中に小さなボールを入れた形状」の大屋根を特徴とするもの。
  一方南方型と言われるものは、四角錐型とも言われる形状のもの。別名で言えば、ピラミッド型とも言われる。

  時代的には北方型の方が古くて7世紀頃までさかのぼれる。一方南方型は14世紀中期から現れたと言われる。

  左の写真はカジュラホのマタンゲーシュワラ寺院。 連なった二つの建物が見えるだろうが、前方のものがラクシュマナ寺院の周りにある4つの堂の一部。これは北方型の建築様式で建てられている。後方の大きなたてものの方が南方型の特徴を表している。カジュラホの写真だが、この堂の南方型形式はこの地方では非常に珍しいもの。

  話が少し外れるが、主堂の上に黄色い旗が立っている。これは「生きている寺院」であること、すなわちそこが今なお信仰の対象であることを示している。したがって、このマタンゲーシュワラ寺院はカジュラホ建築群からは別離され、誰でも祈りを捧げることが出来るようになっている。巨大なシバリンガが祀ってあり、祭りの時には20万人もの人が集まるという。