8月17日(木)快晴 エスファハーン滞在
順子発熱のため、観光取りやめ。
11−1 順の変調
ベットに入ってからも体の震えを感じていた順の調子は悪化の一途を辿っていた。
11−2 夜中 熱は38度前後
午前3時前に順さんがトイレに行く。寒いという。とりあえず予備の毛布をかぶるが未だ寒いというので、則のベットに移る。体温37.9度。
午前3時05分、抗生剤ケフラールとバッファリン飲む。同時に頭を冷やす。
午前3時24分、未だ寒いというので順が寝ていたベットの毛布も掛け、更に靴下をはかせる。連日の強行軍が体力の低下をもたらしたのだろうか。今度の旅には、少し順さんに頼りがちだったと則は反省し、イラン土着のそしてイスラムの神に、早い回復をと祈る。
幸い冷蔵庫があるので、製氷器部分にぬれタオルを入れて、急ごしらえの氷嚢を作る。 およそ、一時間経過したので、順さんが目を覚ましたのを機会に、体温を測る。なかなか鳴らない。出してみると38.5℃ある。添乗員に電話をするといったら、未だいいといいので、一応1時間待ってみることにする。寒さはなくなってきたというのが唯一の救い。
納豆汁を作る。一応飲むかと聞いたら飲むというのでそうしたが、果たして飲むか?解熱剤が効かないのは致命的だ。
午前4時30分ころ汗をかいたというので、着替える前に納豆汁を飲ませ(全量飲む)、着替える。トイレに行く。
カテキン茶を少量飲み、午前4時40分再び寝る。どんどん汗が出てくる感じという。菌と戦っている感じだろうか。頑張ってほしいものだ。5時過ぎに再度体温を計測したい。まだ38℃台だったら、添乗員に電話をして指示を仰ごうと思う。ただ寝ていればそのタイミングはずれるかもしれない。
午前4時58分、順さんがモソモソする。氷嚢がわりのタオルがずれたようだ。体温を測定。37.4度。さっきは37.5超だったことを考えれば低くなったといえないこともないが、未だだいぶ高い。氷嚢代用タオル交換。様子をあと1時間見ることにする。外がようやく白み始めた。
午前5時15分頃、また汗をかいたというので着替える。あと寝間着の予備は1枚だけだ。確かにシャツは結構汗をかいている感じがする。体温を測る。37.9℃に下がる。確かに下がっている感じはこの数値ではする。カテキン茶を飲ませる。もう少し様子見をしようと思う。37.9℃というのは38℃に限りなく近いのだから。
寝たかと思ったら、午前5時21分、トイレに起きる。再び体温計るも変わらず。5分間程度ではあるが、下がらないのが気にくわない。うとうとして、6時に目覚ましで起こされる。順さんトイレ。熱変わらず。だいたい、経験上で言えば、3回程度飲まないと熱は下がらない。解熱剤のバッファ鈴を予備の所から常用場所に補充。朝ご飯はだめだろうと思って聞くと、食べられるというので、7時になったら出かけてみることにする。ちょうど4時間経過し、薬も飲める時間だ。
11−3 朝の決断
考えてみれば粥を持っているのを思い出して、それを作る。今日は一日パスすることを添乗員のモーニングコールだったら伝えたいと思う。
午前6時03分にモーニングコールあるも、現地の人の声。も一度電話あり。添乗員氏。状況を説明する。医者はいるかとの説明に、7時半頃朝ご飯を食べに行くので、そのとき判断すると答える。順は医者がきても言葉がわからず面倒だと言う。お粥は一食分食べた。食欲がないわけでは無いとも言うが、それは安心要素かどうかは不明。
則だけ朝食に行き、医者は不要と答え、今日の参加の有無は出発時に判断すると答える。添乗員氏了解。お粥は未だあるかというので、一応あると答える。判断は適切なり。
則はしばらく考えた。則だけ行くべきかどうか。結論としては、今日は二人ともパスすると言うことだった。理由は二つある。というか、この先どうなるかわからないが、今日は3連泊の日だから、ここに留まっていることが可能であること、そして観光の中心が金曜モスクとバザールであること、それから夜景だけだがイマーム広場も見たこと、そして場所はイスファハンである点だ。イランはいつかまた来よう。また今後もそういう状況であることを願おう。残されている、今回見ない世界遺産もイスファハンの近くにもある。再度訪問することを誓おう。
11−4 午前中 ホテル
バスはいつの間にか出発したらしい。
午後6時30分頃いったんホテルに戻ると言うことだが、このツアーの場合予定は未定だ。夕食はいったんホテルに戻り、再度出かけるという。そこまでは予定変更しないだろう。心配なので、昼食時頃いったん部屋に電話をくれるように依頼した。熱がまた上昇してきて38℃台だ。
10時少し前に則もうつらうつらしているところに、部屋のクリーニングにきた。午前10時05分39.1℃。未だ熱が下がらない。そればかりか更に上がってくる感じだ。手だてがない。解熱剤も4時間おきでないとだめだから、未だ1時間は使用できない。熱がこもっている感じで、汗も出ないという。汗の行き場がない感じとも順は表現する。どうも雰囲気からすると順は腹の調子もよくないらしい。何が原因なのかは不明だが、困った。
午前10時20分、順は再び眠りにつく。といっても、昨日も寝ていたわけだから、浅い眠りだ。軽い寝息を立てているので、静かにしておきたい。
午前10時35分頃、要請に基づきタオル交換。
午前10時58分トイレ。およそ30分おきにトイレに行く。部屋の気温が30℃近くになってきたので、弱めにクーラーを入れる。体もだるそうだ。紅茶を飲むかと聞いても、今はよいと答える。体温を測る。この頃になると、上昇していないかドキドキだ。38.8℃。心持ち下がったが、だるさ感は増したようで、改善されているとは言い難い。
午前11時30分、38.3℃。空調が27℃になったので切る。ぬるくなった紅茶を飲む。カップ全量。昼は食べたくないと言って寝る。暑いといって、それまで掛けていた毛布をはねのける。それがよいことなのかは定かではないが、脇の下に水の500mlのボトルを入れて熱を下げる努力をする。本当は缶ジュースがよいのだが、無いので仕方がない。苦しい状態は察するが、何も出来ないのは苦しい限りだ。
食欲がないといっても、そろそろ薬の時間だ。何か考えなければいけない。とりあえず、対応できるように、湯を沸かし始める。
11−5 午後 ホテル
午前11時55分頃、添乗員氏から電話あり。ジャスト昼にかけてきた。悪くも良くもなっていないことを伝える。念のために現地ガイド氏の携帯の電話番号を控える。それで順さんも目をさます。星梅干し2個食べる。また、サクランボジャム入り紅茶を作る。さます。臨時氷嚢交換。午後0時11分になっていた。
体温測定38.5℃。一進一退だ。その後、ジャム入り紅茶を飲ませた。従業員がきてタオルを交換し、水ほかを冷蔵庫にセットした(昨日までは何もなかった)。それからバファリンと抗生剤を飲ませた。効いてくれと願った。午後0時28分になっていた。
少し寝るように言う。則もうつらうつらしているところで、午後0時57分、汗をかいたというので、着替えるが、先ほどのバファリンが未だ聞いてくるとは思えない。午前中に飲んだ分が遅く今頃になったのか?よくわからない。交換後に体温測定、38.3℃。何とか、37℃台には持ち込みたい。
午後1時35分、汗をかいたというので着替える。確かに今までで一番汗をかいている。ドライシャツが濡れている。更に30分後にも交換。残りにシャツがさすがになくなってくる。体温37.9度。待望の37℃台だが、今朝の5時過ぎのデータと同じだ。これ以下には下がらなかった。つまり、この値より下がれば一応改善といえるが、この後おそらくまた体温が上昇するだろう。これ以下になって徐々に波を繰り返し、収れんすることを期待しているのだ。
そうこうしているうちに非常ベルが鳴る。従業員の掃除婦とおぼしき人の影を見かけたがあわてる様子はない。でもなかなか止まない。心配になって、階段を使って降りてゆく。途中で男の従業員と会ったので、どうしたのか訪ねたが、言葉が伝わらない。下を指さし、逃げる必要があるかを聞くと、ノーといってあわてる様子はない。部屋に戻って順に説明している間に、鳴りやんだ。電気も供給されていたので、一応安全かと思ったが、順も熱にうなされながらも非常用袋を作っていた。まだ気力だけは残っているらしい。それでも昼用に食べていた昨日の朝の残りのトーストを食べるかと言ったら、いらないと答えた。食欲は本当に無いらしい。
午後2時55分トイレと着替え。腹の具合もあまり良くない様子だ。結局この菌が風邪に似た症状の原因なのかもしれない。着替えは前ほど濡れていない。37.8℃。気休め程度に下がる。テレビでこれまでの写真を見たいという気力がわいてきたようだ。
午後3時10分ころテレビに撮った写真を流してみせる。でもすぐに目をつぶってしまった。まだまだのようだ。午後3時45分、体温38.1℃。また上がってきた感じだ。始末が悪い。手を握ってもその熱さがわかる。空調を止める。
午後4時00分、順さんは完全に寝入っている。静かにしておこうと思う。感じとしては、深い眠りに入れば、高体温は収まるのではないかと思うのだ。いや、そうであって欲しいと思う。がんばれ、順さん。
午後4時10分トイレに行く。体温38.1℃。
午後5時00分、体温を測る。37.9度。芳しい数値ではない。写真を見るのもくたびれただろうから、1時間程度寝ることを提案。外がうるさい。旅行者が戻ってきたと言うことか。午後5時20分、体を温めたいというので、お湯を沸かすことにする。沸かしたお湯でタオルを暖め、それをビニールに入れて湯たんぽの代わりにする方法法を考えたのだがうまくいくかどうか。
11−6 医者へ
写真の整理を始めようとしたところで、添乗員氏から電話。朝には午後6時30分頃帰着といっていたから、ひょっとしたらスケジュールを早めてもらったのかもしれない。以下は時間が記載できない。なぜならばバタバタ気が動転していて、時間の経緯は終えないから。何しろ、電話があったのは午後6時00分よりはかなり前だったともう。
今日一日の状況を伝える。医者にかかるべきかと聞かれ、そうした方がよいだろうと答えた。彼の方もその方がよいだろうという判断だったと思う。長年の経験に従う方がよい。というか、添乗員Yさんの質問は答え付きの質問だから、返答しやすい。またしばらくして電話があり、この国では往診のシステムはない(ホマホテルくらいだとあるかもしれないが)、タクシーで医者に行って処方してもらい、薬を買うというシステムだという。私はそれを聞いて、半ばあきらめた。そんなことはとても出来ない。添乗員氏にどうしますかと聞かれ、とても私一人で出来ないので途方に暮れた話だと言ったら、当然4人(現地ガイド・添乗員・順・則)だという。患者だけでは無理に決まっていると言われた。気が動転しているとはこういうことだろう。フロント階に降りてきたら、タクシーを呼ぶというので、10分以内に行くと答える。階下に行くと、保険の資料が必要だという。これも動転していて、理解が出来なかったのだが、保険の支払いは日本に帰ってからで領収書だけ集めればよいと思っていた。保険の紙に書かなければならないという理解をしなかったので、置いてきたのでまた取りに戻る。
(この保険の請求は、帰国後早速行った。金額的には大したことは無かったのだが、何しろ初めてのことなので勉強のつもりでやってみた。このときに書いてもらった書類は、医師のメモ書きのような診断書、それにこの日支払った金額とこの日のレート、添乗員の証明サインを付け加えてもらった。この1枚の紙と保険証書を保険会社に送った。10日ほどで全額支払われた。)
11−7 医者の診察
階下に再び行くと既にタクシーはきていて、病院へ直行する。病院はきわめて近かった。数分乗っただけだった。病院のガードは堅く、いちいち名乗り了解しないと入れてくれないシステムだ。事前に連絡しておいてくれたのだろう、すぐにドクターの所へ行けた。ドクターの見立ては、ウイルス性のものだろうということで、クーラーの風などには何日かは当たらないようにとのことだった。また体温はだいぶ高いというような意味のことを言っていたらしい。それから血圧がだいぶ下がっていると。血圧の低下は想像外だった。
ただ思い当たる節はあった。解熱剤だ。飲んだ薬を示し、普段血圧が高いので血圧降下剤を飲んでいると説明した。処方を書いてくれた。それを現地のガイド氏が持って行き、程なくして薬を手に入れてくれた。薬は錠剤が二つで、一つは8時間おき、もう一つは一日一回だった。またシロップのようなものも出してくれた。これは6時間おきに飲むようにということだった。帰りもタクシーで帰ってきて、精算などをした。タクシー代を含めて15US$であった。現地ガイド氏に支払う。
写真はかかったイランの病院の前の順さん。やつれているようではないのが不思議だ。この写真は、ちょっと不謹慎だと思ったが、ガイドと添乗員の両氏が出入り口で門を開けてもらう交渉をしている隙に撮影した。
11−8 ホテルへ
ホテルに戻ったのは、午後6時45分位だったと思う。だいぶ、イランと日本の旅行社の人に迷惑をかけてしまった。添乗員のY氏はその上、お粥と梅干し等を持ってきてくれるという気の使いようだった。お礼をいくら言っても足らないと思った。
ツアーの食事の後ホテルに帰着したら連絡が欲しいかというので、甘えることにした。たぶん現状を把握しておく方が、添乗員氏としても良いだろう。
午後7時45分ころまた順は暑いと言い出した。着替えさせる。今回はトイレには行かなかった。帰ってからすぐ行っただけで未だ2回目のトイレに入っていないという。トイレに行く回数は減った感じだ。体温を測ると36.9℃で、昨日から一番下がった。下がっても37℃台後半だったから、やはり医者の処方する薬は強力なのだろう。このまま行けばよいが、まだ何回か上下をするだろう。体力勝負だ。
11−9 薬効果
しかしその後、体温の上昇は見られなかった。徐々に降下し、午後10時30分ころ添乗員氏が夕食よりホテルに戻ってきた頃には、36℃台に下がっていた。
それでも一応則は念のために、37℃程度に下がった旨伝えた。結果的にトイレについての回数は激減した。ただ緩いことに関しては、改善は未だのようだ。ともかくも、今回の具合の悪くなったという問題については、解決に向かったことは明らかで、ひとまず安心して良いだろう。
11時30分くらいに寝たと思う。
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